30.09.2024
パズルのピースのようにピッタリはまる、バルーフのソリューション
Roman Vrackoは、ビジョン製品のプロダクトクラスターマネージャーです。このインタビューでは、産業用画像処理システムが複雑な作業においてどのような強みを発揮するか、また、カメラ技術においてカスタマイズソリューションがいかに重要かを説明しています。
Vrackoさん、産業用画像処理システムにより、自動化はますます進んでいますね。カメラベースのセンサ技術の採用は、どのような場合に効果的なのでしょうか?
他のセンサでは限界になったときです(笑)。典型的な画像処理のアプリケーションの例は、光学的な品質管理です。特に、すべての組立て部品が正しく取り付けられているか、表面に損傷がないかなどの情報を提供します。距離や形状、サイズの光学測定も重要な分野です。例えば、色、パターン認識、穴の間隔距離など、複数のパラメータを同時に効率よく記録したい場合に有効です。
特にどの産業で多く使用されているのでしょうか?
産業用の画像処理で重要な産業は、医療技術やライフサイエンス、製薬、パッケージング、食品・飲料、半導体、イントラロジスティクスなどです。バルーフでは、スポーツなど非産業分野でもマシンビジョンで協力していますが、これは例外です。ひとつ確かなことは、「アプリケーション分野は多岐にわたる」です。
Roman Vracko:バルーフ ビジョン製品部門プロダクトクラスターマネージャー
AIとマシンラーニングはマシンビジョンの分野にどのような変革を与えていますか?
AIとマシンラーニングは、マシンビジョンの分野で大きな影響を与えています。AIがサポートするアルゴリズムは、画像をより効率的に分析・処理することができます。人間や従来の画像処理アルゴリズムでは識別が困難なパターンや異常を認識することができます。つまり、多くの画像処理作業を自動化し、効率を高め、ヒューマンエラーを削減することができるのです。これは特に製造や品質管理において有益です。AIモデルは新しいデータから学習し、変化する状況に適応することができます。これにより、マシンビジョンシステムの柔軟性と精度が向上します。
全体としてAIとマシンラーニングは、その性能と適用範囲を大幅に拡大することで、マシンビジョン技術に革命をもたらしています。
昨年の秋、マシンビジョンのコンポーネントサプライヤであるMatrix Vision GmbHは、Balluff MV GmbHに社名を変更しましたが、バルーフの製品群において、産業用画像処理システムはどのような役割を担っていますか?
非常に大きなものです。産業用画像処理の始まりは1970年代にさかのぼります。Matrix Visionは、画像情報のコンピュータ支援評価依頼、40年近くこのテーマに取り組んでいます。その後、USBとギガビットイーサネットという標準インタフェースが登場し、画像信号のリアルタイム伝送が可能になりました。意図的にシンプルになったスマートカメラの開発により、オペレータの設定もより簡単になりました。こうして、Matrix Visionとバルーフの接点が生まれました。Matrix Visionは2017年以来、カメラベースのセンサ技術分野でバルーフグループを補完してきましたが、社名変更により、両社の専門知識は1つのブランドの傘下に統合されました。この目的は、共同製品をさらに拡大し、国際的に位置づけることです。
具体的にはどのような製品やソリューションですか?
ひとつは小型・コンパクトなだけでなく、消費電力も少ないUSBインターフェースを備えた、いわゆる組込みモジュールカメラです。特に医療診断や測量技術の分野では、従業員であれば誰でも簡単に操作できるハンディーデバイスの傾向が強まっています。より堅牢なギガビットイーサネットカメラは、過酷な産業環境での使用に最適です。
GigEビジョンは 2006 年に登場したインターフェース規格で、バルーフはその標準化委員会のメンバーであり、その策定に積極的に関わっています。最後に、PCI (Peripheral Component Interconnect) Express インターフェースを搭載したカメラは、最高のデータスループットとパフォーマンスを提供します。どのソリューションがどの産業用途に適しているかは、常に個々の判断によります。

個人的な質問なのですが、カメラ技術おいて、なぜカスタマイズソリューションが重要なのでしょうか?
アプリケーションが多岐にわたるからです。アプリケーションによって、スペースが決定的な基準になる場合もあれば、エネルギー消費量や特殊な物流環境条件が基準となる場合もあります。屋外に設置するカメラであれば、あらゆる天候に耐えられなければなりません。皮膚科医で使用するカメラであれば、特別に優れた色再現性が求められます。これらにより次のような課題が出てきます:個別のアプリケーションに最適化するには?また、どのようなコンポーネントに変更すればよいか?

このような課題に対してバルーフはどのようにお客様をサポートしているのでしょうか?
バルーフでは、スタンダードな製品という技術的な基盤にしっかりと両足を置いています。たとえば、お客様が特別なデザインやインターフェイスを必要とされる場合、ある程度まで柔軟に対応することができます。
お客様のアプリケーションを理解し、総合的にアドバイスし、最適なソリューションを一緒に見つけたいと考えています。この分野での豊富な専門知識が、私たちを助けてくれるのです。当社のカスタマイズ部門カスタムデザイン&エンジニアリング(CDE)では、さらに一歩進んで、製品のアイデアから実装に至るまで、カメラ製品のカスタマイズや特別な開発をワンストップで提供しています。
それはどのようなものですか?
最初の段階では、既存のソリューションを組み合わせる改造や構成を行います。それでも不十分な場合は、お客様と開発パートナーシップを結び、多くの点でカスタマイズした製品に仕上げます。その結果、パズルのピースのようにピッタリとはまる、専用のカスタマイズ製品ができあがります。
具体的な例を教えてください。
BMEL(連邦食料農業省)が資金援助しているプロジェクトのパートナーとして、Fraunhofer IVV(プロセス工学・包装研究所)と共同で、メカトロニクス、エネルギー消費、インターフェースの面で特別な要件を満たす自動タンク洗浄用カメラを開発しました。
AIについてはすでにお話しをお聞きしました。現在、ユーザーは他にどのようなトピックに注目しているのでしょうか?
多くのお客様にとって、波長域の拡大がますます重要になってきています。その答えがUVカメラまたは新しい短波長赤外技術センサ略してSWIR、これは短波長の赤外域を利用します。もうひとつのトピックは、3D画像処理です。これにより、空間的な3Dの視覚化が可能になり、対象物の位置、大きさ、向きに基づいた自動意思決定が可能になります。そしてもちろん、現在業界全体に影響を及ぼしているコストへのプレッシャーもあります。私たちは、新しい「Automation・Ready」カメラのコンセプトでこれに対応しており、次回のVISIONショーで発表する予定です。