16.05.2025
可視スペクトルを超えたイメージキャプチャ
SWIRカメラとUVカメラで広がる光学検査の可能性
基礎知識
産業用画像処理アプリケーションというと、人間の目にも見える特徴の検出を思い浮かべることが多いでしょう。ほとんどの産業用カメラは可視領域 (380 nm ~ 780 nm)でも動作し、近赤外域でも十分な感度を実現しています。
この波長領域を不可視領域までに広げることで、人間の目や従来のカメラでは隠されていた物体の特徴や特性を明らかにすることができます。
可視領域以下の波長は、紫外線または紫外線放射 (UV、100 nm ~ 380 nm)と呼ばれます。波長が780 nmを超えると赤外領域となり、1000 nmまでを近赤外 (NIR)、1,700 nmまでを短波長赤外 (SWIR)と呼びます。
電磁スペクトルとSWIR波長
適切なイメージセンサを使えば、可視スペクトルを紫外域から近赤外域まで広げることができます。
紫外域でのイメージキャプチャ
半導体産業での事例
紫外領域における多くのアプリケーションのひとつに、ウェハの検査があります。微細な半導体構造の検査には、かなり高い解像度のカメラが必要です。しかし、ガラスやプラスチックのような素材の画像を撮影する場合、標準的なカメラを使用すると、透明または半透明に見えてしまいます。しかし、紫外線スペクトルでは透明度が変化するため、紫外線で撮像すれば、これらの材料を識別することができます。バルーフのカメラは、高解像でディテールを再現する紫外線短波長を用いた最新のセンサ技術を採用することで、これらの要件を満たします。
Pregius Sシリーズから搭載されたSony製イメージセンサ IMX487により、可視スペクトルは紫外領域となる200 nmまで拡張されました。このセンサの8.1 MPの高解像度により、このスペクトル領域で非常に詳細な画像を撮影することができます。
UVセンサの主な仕様
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イメージングセンサー |
ソニーIMX487 |
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センサータイプ |
2/3 "グローバルシャッターCMOS |
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解像度 |
8.1MP(2856×2848ピクセル) |
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ピクセルサイズ |
2.74 µm |
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フレームレート ADC 8ビット |
194 fps |
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フレームレート ADC 10ビット |
193 fps |
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フレームレートADC 12ビット |
127 fps |
SWIRの画像処理
短波長赤外領域 (Short Wave IR、略してSWIR)での画像処理は、検査や選別、品質管理においてますます重要になってきています。SWIRは800 nmから1,700 nmまでの短波長赤外領域を差し、近赤外 (NIR)より上の1,000 nm ~ 1,700 nmの範囲を差すこともあります。波長の長いものは熱放射とも呼ばれ、物体自体からも放射されます。
SWIRスペクトルは、可視光に使い特性を持ち、ここでは物体は光子を反射または吸収します。SWIR領域の特徴は吸収特性により、例えば食品、特に農産物や不透明なプラスチック容器の充填レベルを検査することが可能です。また、SWIRセンサは、煙や霧の中でも対象物を容易に認識できるため、監視用途にも有効です。SWIRセンサは、半導体検査にも使用されており、SWIR光ではシリコンは透明に見えます。
ソニーのSWIRセンサシリーズ (IMX990、IMX991、IMX992、IMX993)は、400 nmから1,700 nmの範囲で可視光とSWIR波長の両方を検出できるユニークなセンサです。同時に、特殊なボンディング技術により、小さなピクセルピッチとピクセルサイズの小型化を実現しています。
つまり、この波長領域で高解像度カメラや、より精密な検査システムに使用することができます。
SWIRセンサの仕様
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イメージングセンサー |
ソニー IMX991 |
ソニー IMX990 |
ソニー IMX993 |
ソニー IMX992 |
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センサータイプ |
1/4 "グローバルシャッターCMOS |
1/2 "グローバルシャッターCMOS |
1/1.8型グローバルシャッターCMOS |
1/1.4 "グローバルシャッターCMOS |
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解像度 |
0.34MP(656×520ピクセル) |
1.34 MP(1296×1032ピクセル) |
3.2 MP(2080×1544ピクセル) |
5.3MP(2592×2056ピクセル) |
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ピクセルサイズ |
5 µm |
5 µm |
3.45 µm |
3.45 µm |
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フレームレート ADC 8ビット |
258 fps |
134 fps |
170 fps |
130 fps |
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フレームレートADC 10ビット |
240 fps |
125 fps |
150 fps |
120 fps |
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フレームレートADC 12ビット |
137 fps |
71 fps |
90 fps |
70 fps |
新機能
HCG (High Conversion Gain) / LCG (Low Conversion Gain)機能:光を電気信号に変換した直後の信号を増幅するスイッチング機能により、その後のノイズを低減し、低照度下でも低ノイズの撮影が可能
DRRS (Dual Read Rolling Shutter)機能:DRRSを使用しない場合に比べ、ノイズを約1/4に低減し、ノイズの少ない画像の撮影が可能
その他のカメラのメリット
低消費電力:IMX991センサーを搭載したBVS CA-GX0 GigEカメラの消費電力はわずか約2.9W
カメラ冷却オプション:ヒートシンク、冷却チューブ、サーモエレクトリック冷却 (TEC)など、過酷な環境や用途に対応したタイプをラインナップ
短波長赤外線(SWIR)検査がお客様のニーズに合っているかどうか心配ですか?
今すぐSWIRラボに資料をお送りください。SWIRアプリケーションラボでは、SWIRイメージングがお客様のプロセスに有益かどうかを確認するため、お客様の素材をテストいたします。SWIR/UVカメラのラインナップとインタフェースの概要
バルーフが持つ既存のGigEカメラプラットフォームは、SWIR/UV技術の仕様をとても簡単にしています。GigEビジョンとGenICamの互換性により、既存の産業用カメラと同じような統合・運用でメリットを享受できます。

GigEBVS CA-GX0シリーズ |
5GigEBVS CA-GVシリーズ |
10GigEBVS CA-GTシリーズ |
25GigEBVS CA-GWシリーズ |
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スケーラブルなマシンビジョンインターフェース 機械的/電気的特性を個別に構成可能、最大31.5 MPのセンサを選択可能、さまざまなデジタル入出力に対応、コンパクトなハウジングに豊富な取付けオプション、GigEとI/Oインタフェース用M12コネクタ、IP67のオプションを用意 |
非常にコンパクトなハウジングで低消費電力を実現 29 × 29 mmの小型形状、低消費電力による最高の熱特性、PoEを使用した1本のケーブルによる電源供給とデータ転送、2.5 GigEおよび1 GigEインターフェースとの後方互換性、大型センサ用の大型レンズホルダのオプション |
優れた画質で高速伝送 IEEE1588に準拠したPTP (Precision Time Protocol)による正確な同期、PoE+を使用した1本のケーブルによる電源供給とデータ転送、カメラ冷却機能内蔵、CおよびM42マウントのレンズホルダ、標準光ファイバーSFP+による10 GigE接続、MAO (Multi-Core Acquisition Optimizer)、画像ロスのない1245 MB/s |
あらゆる次元で最高のパフォーマンス 低レイテンシーと高スループットのデータ伝送にRoCE v2プロトコルを採用、GigE Vision標準のシンプルな実装、標準的なSFP28光ファイバー接続技術によるコストパフォーマンスの高い長距離接続、40 x 40 mmの小型形状、大型センサ用の大型レンズホルダのオプション |
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USB 3 - BVS CA-SFシリーズ
プラグアンドプレイで高性能を実現
最大31.5MP、最大12ビット/ピクセルの高画質CMOSセンサ、リアルタイムでの内部画像前処理、リアルタイムシーケンス用のフロー制御、広範なプラグ&プレイインターフェース、USB3 Vision規格およびGenICamによるハードウェアおよびソフトウェアの互換性
アプリケーション事例
SWIRスペクトルは、農産物や不透明なプラスチック容器の充填レベルのチェックに使用できます。SWIRセンサは、煙や霧の中でも対象物を容易に認識できるため、監視用途にも有効です。
食品産業では、SWIRカメラは食品中の異物を検出するために使用されています。
左:可視スペクトル|右:SWIR
SWIRスペクトルではシリコンは透明に見えるため、SWIRカメラは半導体産業でも損傷や製造上の欠陥を検出するために使用されています。
左:可視スペクトル|右:SWIR
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Industrial cameras with SWIR and UV sensors